「公務員は安泰」を疑え!
「公務員は安泰」を疑え!
(1) これまでの総括
前回の投稿により、アナタには、世間で一般に認識されている「公務員の副業」と「国家公務員法と地方公務員法」の規定には大きな差異があることに気づいていただけたであろう。
言い換えれば、実際の「国家公務員法と地方公務員法」で規定するところはもっと個別・具体的な禁止事項であり、それ以外には膨大なグレーなエリアが存在するのである。(下の図のグレーの部分がそれに該当する。)
(2) 定年は延長され続けてはいるが・・・
確かに現在、我が国は空前の人手不足である。就業者の定年も法改正とともに延長され、公務員も職場もこれに準じてきた。現在、政府では、公務員の年齢を20212021年度から3年毎に1歳ずつ引き上げて2033年度に65歳とすることを目指している状況だ。
「高年齢者雇用安定法」の改正の推移
■ 1986年 60歳定年を努力義務化
■ 2000年 65歳までの雇用確保措置を努力義務化
■ 2004年 65歳までの雇用確保措置の段階的義務化(2006年施行)
■ 2012年 希望者全員の65歳までの雇用を義務化(2013年施行)
だが、安心するのはまだ早い。日本人の平均給与は長期的には下がり続けているのだ。公務員の給与は官民格差がいつも指摘されるが基本的に民間給与の増減に準じるのが基本原則である。
一方で公務員を始め日本人労働者の平均年齢は上昇し続けている訳だから、低下の度合いはこれ以上であるのが実態だ。
そんな中で出てきたのが公務員の副業解禁の動きなのである。
統計元:平成26年 国税庁 民間給与実態統計調査結果
(3) 民間では先に副業解禁が進むが・・・
こうした動きを受け、民間企業では、一足早く副業解禁に乗り出した企業は多いのは周知のとおりだ。そもそも民間企業は、公務員よりも終身雇用制度の崩壊が進み雇用の流動性が高いうえ、身分上の法的な制約が少ない。
Uberなどのタクシー、Airbnbなどの民泊、どれも法が未整備な中、キャスティングボードを狙う事業が先に参入する競争市場において、職業倫理を日頃から植え付けられ、民間人よりも身分による行動の制約も受け、起業や商売の経験もないアナタまでもが、やがて年収の減少分を補うべく、労働市場に放り出される訳である。
(4) 最近、こんな元上司を見かけたことはないか?
そんなことは言ったって、「腐っても公務員」、「親方日の丸」なのだから、身の丈に合った生活さえ望めば、それなりの生活を国家は保証してくれるに違いないと大半の読者は思っていることだろう。確かに一面では正しい指摘かもしれない。
しかし、いくら家族を守るための生活手段とは言え、これまで局長、部長まで勤めてきた者が、再任用や定年延長などにより、いきなり低廉な給与待遇となり、権限もなく、新人職員の隣に小さなデスクを一つ与えられ、陰で「老害」とかつての部下たちに囁かれながら暮らす、職業人としての人生の集大成・・・こんな光景を最近、アナタの職場で目の当たりにしたことはないだろうか。かつては、天下りポストも充実し、外郭団体に役員クラスで「渡り」を出来たのも昔の話である。
そんな刹那的な生き様は、果たして本当にアナタが目指すものだったのか、アナタの子どもに見せたい「背中」なのか、そしてそもそも、小さなデスクにしがみつく姿が、国家、地域に貢献しようとする公務員としての志に本当に適うのか、アナタの自問は尽きることはないであろう。
本サイトはそんなアナタのためにこそ存在している。
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